第6章:華僑・華人の投資、お金の取り扱い方

華僑・華人の投資、お金の取り扱い方

前章では「華僑・華人の教え」と題して、華僑・華人の方々の人生に対する考え方や対人コミュニケーションについてまとめました。

本章のテーマは「お金」です。

華僑・華人と聞いて、”ビジネスに成功したお金持ち”というイメージをはじめに思い浮かべる人は少なくないでしょう。華僑に関する歴史を知らずとも、ビジネス的センスに長けた人々というイメージは浸透していると思います。

華僑・華人の人々は、お金や投資に対してどのように考えているのでしょうか。

お金との向き合い方 日本人と華僑・華人の違い

華僑・華人のお金に対する感覚について考える時、まず第一に私たち日本人はお金とどう向き合っているだろう?と自問する必要があるでしょう。

あなたは、露骨にお金のことを話すのは「はしたない」とか、「下品だ」などと考えてはいませんか?

『世界一やさしい株の教科書1年生』の著者で経営コンサルタントとして活躍するジョン・シュウギョウさんは、お金に対してネガティブなイメージを持ちやすい日本人の考え方は、アジア全域で見ると非常に特殊であると指摘します。

日本以外のアジア諸国の人々はお金の話をすることにさほど抵抗がありません。誰もがお金を稼ぐこと、増やすことに前向きで、それを公言するのです。華僑・華人については言わずもがなでしょう。お金を稼ぐという事に対してとてもポジティブであり、何年後にどのくらい稼ぐという明確なイメージを持つ人が多いようです。

日本人と中国人はまさに対照的な存在です。

中国人は「お金を稼ぎたい」「成功したい」という人を信用します。彼らの感覚としては、お金は生きていくうえで必要不可欠なものであり、ネガティブなイメージを持つ必要が無いためです。

対して、日本人は「貧しさは美徳、贅沢は悪」「分相応な生活をすべし」というような感覚の人がいまだに多いのではないでしょうか。

それはもしかすると、日本は長きにわたって比較的豊かな国であり、他国から侵略されるような目にも合わなかったからかも知れません。貧国に直面せざるを得ない環境、侵略や略奪を受けるような悲劇にあった人々からすると、貧しさから抜け出すためにも積極的にお金を稼ぐという考え方へシフトするのは自然な流れです。

華僑・華人は”人”に投資する

投資とは自らのお金を株や不動産などに変えて資産を増やす行動の事ですが、華僑・華人は資産をお金だけを指す言葉とは捉えていないようです。

華僑・華人のビジネスマンは仕事で関係する相手の人間性をよく見極め、付き合う人物を厳選します。すなわち、より素晴らしいビジネス相手に出会うために、時間やコミュニケーションの労力を自分の将来のために投資していると言えるでしょう。

ビジネスで大事なのは人・物・金と言われます。一番最初に来るのは物でも金でもなく、人です。

創造的で優秀な人物と一緒に働けば、自分自身の未来の可能性まで拡げられるようになる。だからこそ、華僑・華人は仕事で関係する相手の人間性を見極め、厳選します。「この人なら信用できる、一緒に仕事をしてみたい」と彼らが判断したら、その人を自分たちの仲間として長く付き合うのです。

華僑・華人同士の結びつきの強さは他の章でも度々言及しましたが、ビジネスにおいても例外ではありません。彼らのネットワークは損得勘定で結びついたものではなく、華僑・華人同士の強い信頼関係、協力関係に基づいたものです。そのため、ビジネスにおいても信頼できる人からの紹介ということであれば、直接知り合った人でなくとも好意的に受け入れてくれるのです。

ビジネスマンとしての信頼を獲得し、強固な繋がりの中で交友関係を拡げ、お互いの専門分野のスキルや知識を共有しながら働くことが出来たら、日本人であっても華僑・華人の人々と共に仕事が出来そうですね。

華僑の繋がりに受け入れられる人とは?

とはいえ、どのような人物であれば華僑・華人ネットワークへ入れるのかよくわかりませんよね。

最後に、ひとつの考え方として華僑・華人に気に入られる人物のキーワードを述べます。

それは、「ギブ&ギブ&ギブの精神」です。

ギブ&テイクではなく、どれだけ相手のために与えられるか、相手のためになる行動が出来るか、という視点で働いている人は、華僑・華人の御眼鏡に適うかもしれません。

ビジネスをしていると、相手に与えてばかりで自分に損が多いのはおかしいのではないか…と考える人がいるかもしれません。ですが、ビジネスの世界にいながら、ビジネスを越えた信頼関係を結べるかどうかが華僑・華人の人が注目するポイントなのです。

華僑・華人は結果を急ぎません。長期的な視点で、お互いを尊重しあい一緒に仕事をする。それが結果的には目先の損得勘定では決して得ることができない、大きな利益に変わるのです。

ついつい自分の利益ばかり求めていないか?この機会に改めて考えてみましょう。

まとめ

本章では華僑・華人のお金に関する姿勢、ビジネスの相手に求めることなどをまとめました。

仕事が早い、専門スキルがある以外にも、人間同士として信頼関係を持ち、相互に高め合えるかが華僑・華人にとって重要なのだとお分かりいただけたと思います。

この考え方は日本国内で働く人にとっても有益ではないでしょうか。ビジネスパーソンとして成長するために、視野をどんどん広げていきたいですね。

参考ページ:All About マネー『お金は人間関係そのもの!人を大切にする華僑のお金の法則』

https://allabout.co.jp/gm/gc/475985/

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