第1章:華僑・華人とは?
「華僑」「華人」とは?
「華僑・華人」と聞くと、皆さんはどのようなイメージを浮かべますか?
・中国以外の国で暮らす中国人?
・何世代も前から中国以外の国に居住している中国人?
・中華街に住んでる人?
・裕福な中国人?
・中国人同士のネットワーク?
・何かの秘密結社?
抱くイメージは様々だと思います。
まずは、序章として「華僑・華人」の大まかな定義や彼らの歴史について知りましょう。
【この記事では・・・】
この章を読むと「華僑・華人」について大まかに理解できます。
「華僑・華人」とはそういう人の事なのか!と読者の皆さんに知っていただければと思います。
華僑とは?
華僑とは中国出身者またはその子孫の事で、中国以外の国や地域で社会生活を送っている人々を指します。彼らは移民、ビジネスマン、文化・交流の担い手として、遥か昔の時代(紀元前)から世界中で重要かつ独特な役割を果たしてきました。
国際的なネットワーク社会を大昔から築いてきた彼らは、現代的な社会人の先駆けと言えるでしょう。
華僑の歴史は、中国以外の文明が興った地域との交易活動にまでさかのぼります。
中国は古代から陸上交易(シルクロード等)や海洋交易によって、自国の特産物(農産物や工芸品等)を遠方の国に運び、他国との交易を行っていました。その交易の中で一部の中国人が新たな土地へと移住し、定着したのが華僑の始まりとされています。
以来現在に至るまで、中国から他国へ移住する人は少なくありません。
むしろ、移住者は増加傾向にあります。華僑が増加すればするほど、彼らの持つ世界への影響力は増しているのです。
華僑とは? = 中国出身で、中国以外の国に定住した人々およびその子孫
華僑と華人の違い
華僑とはどのような人々か、お分かりいただけたと思います。
一方で、海外に暮らす中国人が「華人」と呼ばれるのを聞いたことがないでしょうか。
「華僑」「華人」はともに中国系の人々を指す言葉ですが、その背景には微妙な区別があります。
「華僑」は一般的に、中国以外の国に定住した中国出身者およびその子孫で、かつ自分自身を中国系と自認している人々を指します。
一方、「華人」は中国本土や台湾、香港、マカオなどの中国語圏、さらには全世界の中国系の人々全般を指す言葉です。
全ての華僑は華人であると言えますが、全ての華人が華僑ではないのです。
また、定義として明確には定まっていませんが、「華人」は「現地国籍を取得した中国人」としても位置づけられています。
日本人に置き換えると、例えば2023年のWBC(ワールドベースボールクラッシック)で活躍が話題になったヌートバー選手。彼は日系アメリカ人で、日本人のルーツを大切にしつつ、アメリカ人としての誇りも持っています。
華人についても同様で、自分は中国系だと認識していても、何世代か経つと”自分の家族は「生まれた国」の国民である”という意識が強くなっていきます。もはや、自分のルーツがどこから来ているかなどほとんど意識しない人が増えているようです。
日本でも国際結婚の夫婦の間に生まれた子どもは、住んだことも行ったこともない親の国よりは当然日本に関して詳しく、親の国についてはあまり知らない場合が少なくありません。
それが、3世代、4世代と続けば、なおさらおじいちゃんやひいおじいちゃんの国のことなどわからないでしょう。それが普通ですよね。
何世代にも渡り自分のルーツを誇りに思い、子孫へもそれを繋ぐ「華僑」は、やはり特別な何かを感じます。その特別さを支えているもの(中国への思い)が華僑を華僑たらしめ、彼らを成功へと導いているのかもしれません。
世代を超えたネットワーク作り・相互協力・互助の関係によって、現在の華僑の繁栄がもたらされているのでしょうね。
今 華僑が注目される理由
グローバル化が進む現代、華僑は経済力や文化的影響力の面で大きな注目を浴びています。
華僑は各地域でビジネスを展開し、地域経済に対して大きな影響を及ぼしています。
国によっては政治や行政に至るまで華僑が中心となる場合もあります。
例えば、シンガポール初代首相 リー=クアンユーは華僑の生まれで、現在は彼の息子であるリー・シェンロンが首相をつとめています。東南アジア地域におけるシンガポールの発展、経済的な優位性などはここで語るまでもありません。
華僑のビジネス的成功は特に目覚ましく、アジア全体の経済成長の一翼を担うのは華僑であると言っても大げさではありません。
フィリピン、タイ、インドネシア、マカオ、香港、台湾など、特にASEAN諸国の経済成長に関わる財閥系企業や新興企業は華僑によって興されたものばかりです。
華僑には、先行きの見えない未来が見通す力や、時代や環境に左右されない普遍の理念・原理原則への理解があるのではないか?と思えます。
また、経済に限らず華僑には中国文化の伝播者としての側面もあります。
華僑は彼らが訪れた土地に中国の伝統的な食文化、芸術、言語、宗教、哲学、発明品などを広め、それにより中国文化が世界の広範囲へ浸透していきました。
日本にも中国由来のものがたくさんあります。ただし日本の場合は日本流にアレンジしたものが多いですね。
まずは中華街の存在。
日本には、長崎、神戸、横浜に中華街があります。各国にも中華街(チャイナタウン)が存在します。
中華街を中心として、華僑のコミニティ(ヒト、モノ、カネ、情報)が構築されています。
現代では、インターネットの発展や交通手段の広がりにより、世界はとても狭く・距離が近いものになりました。
・パソコンの普及
・インターネットの普及
・スマートフォンの普及
・AI技術の発展
上記はたった数十年の間に起こった出来事です。
今年でいうと、AIに関する話題が盛んですよね。
世の中の流れの速さについていくのは本当に大変です。
社会の変化とは、
・ネットワーク
・コミュニティ
・テクノロジー
+グローバル
上記3つ+の有り様の変化が複雑に影響し合って起こるものです。
それを昔から理解し、行動していたのが華僑です。
現代でも中国の人々は世界中で大きな影響力を持ち、彼らのビジネス圏、生活圏は拡大しています。
彼らのパワフルさには、何か秘密があるのでは?
その疑問がこのサイトを作った理由であり、現代日本人である私達が知っておきたい内容です。
華僑の教え
さて、私達が知りたい華僑の考え方(フィロソフィー)とは。
華僑の社会には、自分たちの文化を尊重し継承していくべきだという強い意識があります。
文化を継続していくという意識は我々日本人にもありますね。
中国の伝統的価値観を尊ぶこの姿勢は、教育、食文化、伝統的な祭り、道徳観など華僑の生活の多くの点で見受けられます。
華僑の子供たちは中国語の教育を受け、中国の伝統的な祭りを祝い、中国の道徳観を学びます。
これは新しい土地で生活を営む華僑たちが、自分たちのルーツを忘れずに中国人としてのアイデンティティを維持し続けるための方法なのです。
華僑が大事にしている事。
長きにわたって続く組織には、その核となる普遍の概念があると私は思います。
華僑にもそのようなものがあるとしたら、
「教育」 Education
「時間」 Time is money
「三縁」 血縁・地縁・業縁
上記3つのキーワードが、華僑を華僑たらしめているのではないでしょうか。
この3つについては、他の章で詳しく解説します。
世界に広がる華僑ネットワーク
近代史において、中国本土の中国人が他国へ大量に移動することとなった契機はアヘン戦争です。
戦争が起こると、当事者国の国民は自国に不安を抱き、新天地を求め他国へ移動する人が大勢現れるものです。また、「苦力(労働者)」が他国へ移住して働く「苦力貿易」が当時の中国で盛んに行われたことも背景となっています。移民たちの多くが中国東南沿海地域である広東、海南、福建三省の出身であり、そのおもな移住先が東南アジア諸国でした。
1979年に中国政府が改革開放政策を実施した後は、経済のグローバル化に伴いさらに多くの中国人が私費留学、就職、結婚などを通して他国へ移住しました。
今や華僑は世界中に拡がる巨大なネットワークを形成しています。
北米、南米、東南アジア、ヨーロッパ、アフリカなど、世界各地に華僑のコミュニティが存在します。
そして、それぞれのコミュニティは商業的・文化的な交流を通じて密接に結びついています。
この華僑ネットワークには、前述した通り地域間の経済活動を促進し、文化的な交流を深めるという重要な役割をも果たしています。
華僑ネットワークを通じて商業情報が共有され、新たなビジネスチャンスが生まれます。
また、文化の面でもネットワークを通じて中国文化が世界に広まっていきます。
華僑の存在とその活動は、中国と世界の間の重要な架け橋となっているのです。
【チョット・ブレイク】
現在の華僑・華人の人口はどれくらい?どこの国に多く住んでいる?
中国本土以外の華僑・華人人口の合計は、
台湾・香港・マカオに2,700万人、
その他世界に2,300万人(うち2,000万人はアジア)と言われています。
合わせて5,000万人程度です。
第一章・序章のまとめ
第一章では、華僑・華人についての大まかな知識をまとめました。読者の皆さんが華僑・華人について興味をもって頂ければ幸いです。