第11章:華人とユダヤ人の類似点。金融に君臨する民族
華僑・華人とユダヤ人の類似点
世界には、”ビジネス感覚に優れている”と代々評価される民族が2つあります。
それはユダヤ人と華僑・華人です。
「ビジネスで成功したければ彼らに学べ」という言葉もあるほどで、日本人に身近な経営者でいうと、日本マクドナルド創業者の藤田田氏はユダヤ人の教えを活かした企業経営で有名です。
藤田氏をはじめ、ユダヤ人や華僑のビジネスパーソンの考え方に影響を受けた日本人の経営者・実業家・ビジネスマンは少なくありません。
どれだけ時代が変わっても商売上手として続く華僑やユダヤ人の系譜。
彼らの共通点を学べばビジネスのコツが見えてくるのではないでしょうか。
ユダヤ人の成功者
そもそもユダヤ人とはどのような民族なのでしょうか。
ユダヤ人とは「ユダヤ教を信じる人たちとその子孫・末裔」のことを指します。
西暦1世紀ごろには既に世界に離散しており、第二次世界大戦下ではホロコーストの困難に遭うものの、ユダヤ教の文化的、宗教的、民族的な特性は継承し続けて来ました。
彼らは世界各地を転々とする中で培ってきたネットワークや経験を活かして金融業、貸金業、為替業で成功を収めたとされています。
ユダヤ人の世界人口比率は、世界の人口における0.2%と推定されています(国土交通省『訪日ユダヤ人旅行者ウェルカムハンドブック』)。それだけ少ない人数にも関わらず、ビジネスで成功する民族と言えばユダヤ人と言われるのはすごいことですね。
それでは、華僑・華人とユダヤ人の類似点を探す前に、それぞれのビジネス的成功者についてまとめたいと思います。
まずはユダヤ人、もしくはユダヤルーツの成功者から。
画像引用元:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mark_Zuckerberg_F8_2018_Keynote_(cropped_2).jpg
まずはFacebook創始者のマーク・ザッカーバーグを挙げます。
ザッカーバーグ家は曾祖父の代にポーランドからアメリカへ移住したユダヤ系の一家です。
マーク・ザッカーバーグは高校時代から音楽再生フリーソフトの開発を行うなど「世界に大きな変化をもたらす何か」を開発することに取り組んでおり、ハーバード大学在学中にSNSサイト「Facebook(フェイスブック)」を立ち上げました。
個人の名前や顔を明かしてアカウント登録をし、世界中のユーザーとコミュニケーションを取ることが出来るSNSは瞬く間に広まり、まさに世界を変えるツールとなりました。
その後、ザッカーバーグは、写真共有アプリケーション「インスタグラム」の開発会社も買収し、資産額720億ドルの大富豪となりました。
実はザッカーバーグの妻、プリシラ・チャンは在ベトナム華僑の両親を持つ華僑2世です。
彼女は小児科医として働きながら、夫とともに教育や福祉に関する慈善団体を創設するなど、社会貢献活動を活発に行っています。
お金をしっかり稼ぎながら社会への貢献も忘れない。
世界一のパワーカップルですね。
華僑・華人の成功者
画像引用元:https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=24022426
現代華僑・華人を代表する成功者と言えば、第8章でも取り上げた李 嘉誠です。
李 嘉誠は香港最大の企業「長江実業グループ」の創設者兼会長です。10年ほど前の世界長者番付では世界第8位にランクインするなど、現在でもアジアを代表する富豪として有名です。
李嘉誠は1928年に中国に生まれ、少年時代に香港(当時はイギリスの植民地)へ家族とともに移住しました。父親を若くして失ったため、中学校を卒業してから身を粉にして働き、一代にして香港最大の企業集団を作り上げた天才です。
ザッカーバーグが始めたFacebookの創業期に多額の投資をし、成長を支援したのがこの李 嘉誠でした。
当時80代ながら、Facebookの将来性を予測したビジネス感覚はすごいですね。
華僑・華人とユダヤ人の類似点
では本題に入ります。
華僑・華人とユダヤ人の類似点、一つ目は「子供への教育投資を惜しまない」ことです。
わが子の可能性を伸ばすために華僑やユダヤ人の親は時間やお金を惜しみなく使うと言われており、特に華僑の親は教育にかかるお金についてもしっかりと子供に伝え、真面目に勉学に励むよう指導するそうです。
お金に関する話を親子でするというのは、日本ではなかなか珍しいですよね。
ただ、華僑・華人の親は子供に経済的な感覚を身につけさせ、子供へ投資した教育資金が最大限生きた人間へ成長するよう望むのです。
類似点二つ目は、「時間を大切にする」です。
前述したマーク・ザッカーバーグは、毎日同じ服(コーディネート)にすることで、出かける前にどの洋服を着るか悩む時間を削減しているそうです。これはなかなかストイックすぎると思いますが、自分は何に一番時間をかけるべきか・何が一番無駄な時間かをはっきり意識すると、何もしないうちに時間が経ってしまった!という失敗は防げそうですね。
また、時間管理がしっかり出来ていると、急なスケジュール変更や突然飛び込んでくるビジネスチャンスに慌てず対応出来ます。
どの業界にも競合(自分の代わりになる人物)がいるもので、ライバルから一歩抜きんでるにはフットワークの軽さが最重要です。
最後の類似点として挙げるのは「ネットワークの広さ」です。
華僑・華人のビジネススタイルは「三縁(血縁・地縁・業縁)」が最も重要であると述べてきましたが、ユダヤ人も華僑・華人と同様に世界中に散らばっており、各地でコミュニティを作ってビジネス上のやり取りをしているそうです。
同じ民族出身の者同士での相互扶助、または競い合いが彼らのビジネススキルをどんどんパワーアップさせているのかも知れません。
まとめ
華僑・華人とユダヤ人の類似点が何となくお分かりいただけたと思います。
お金を大切にする、時間を大切にする。
当たり前の事ではありますが、普段からしっかり意識して生活しないと、どちらも浪費してしまいがちですよね。
自分は今何をするべきか、今後どのように成長し、仕事をしていきたいか。
お金や時間について現実的に考え行動することが、ビジネス上手な二つの民族から学べることのように思います。